ヒトの皮膚を構成するのは、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層。一番外側の表皮は非常に薄く、その下に真皮、皮下組織と続きます。3層の中でも肌のハリや潤いといった美肌効果に特に関係が深いのは、「真皮」です。真皮はその大部分をコラーゲンが占めており、その間にヒアルロン酸やエラスチンなどが存在。コラーゲンは真皮全体に網目状の構造をつくり、肌に弾力を与え、ヒアルロン酸は肌の潤いを保つ役割を担います。
そして、真皮にはもう一つ、重要な細胞が存在します。「線維芽細胞」です。この線維芽細胞が美肌を保つ最も重要な鍵を握っているといっても過言ではありません。
人は本来コラーゲンやヒアルロン酸を体内で生成する事が出来ます。その役割を担っているのが、線維芽細胞です。線維芽細胞は、肌の潤いやハリのもととなるコラーゲンやヒアルロン酸などを自ら生成し、創り出したコラーゲンと自らを接着して互いを引っ張り合い、肌にハリを生み出します。
ハリや潤いがある美肌をつくるには、コラーゲン、ヒアルロン酸、そしてそれらを生み出す線維芽細胞が重要なファクターになるのです。
コラーゲン、ヒアルロン酸、線維芽細胞が作用し合うことで、ハリと潤いがある美肌が保てます。ですが、ずっとこの理想的な状態を維持できるわけではありません。主に2つの原因が肌の老化を促進すると考えられています。
ひとつは、加齢。年齢を重ねるにつれてコラーゲンとヒアルロン酸量は減少。それらを生成する線維芽細胞の機能は低下し、数も減少していきます。さらに、細胞年齢が上がるため、線維芽細胞のコラーゲンを引っ張る力も衰えてしまうのです。その結果、肌にシワやたるみが増えていきます。
もうひとつは、紫外線。
紫外線による酸化ストレスによりコラーゲン、ヒアルロン酸は分解されてしまいます。美肌を保つコラーゲン、ヒアルロン酸が減少すれば、加齢に伴う変化と同様、肌の老化が進みます。
年齢を重ねると、コラーゲン、ヒアルロン酸、線維芽細胞は驚くほど減少していきます。
以下のグラフをご覧ください。30代~50代にかけて、それぞれ数が減少していることがわかります。
皮膚の老化は、紫外線ダメージや加齢が主な原因とされています。これらによって皮膚が老化すると、肌のハリが失われ、シワやたるみなどが生じます。これは皮膚の表皮の下にある真皮の構造が変化しているからです。真皮は、ヒアルロン酸、エラスチン、コラーゲン、線維芽細胞などで構成されていますが、その大部分を占めるのが、皮膚の弾力を維持している「コラーゲン」です。
コラーゲンの存在は、なかなか外側から確かめることはできませんが、近年、超音波により真皮の状態を可視化できる装置「DermaLab」が開発され、真皮のコラーゲンの状態を画像化できるようになりました。
上の写真は、30代と60代の女性の皮膚での「DermaLab」の画像です。
真皮のコラーゲン密度が高いところは黄色やオレンジ色に、低めところは緑、非常に低いところは黒く表示されています。30代の画像は、表皮から下の真皮の部分に、コラーゲンが密集していますが、60代の画像は、黄色く光る部分がほとんどなく、緑の光もまばらな状態です。さらに、60代の方の表皮直下の部分は、黒い帯のような状態になっています。このコラーゲン密度が非常に低い黒い帯は、一般的に「エージバンド」といわれ、紫外線によるダメージや、加齢によって出現することが知られています。